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2011年6月

2011年6月26日 (日)

もしも食品添加物が完全使用禁止になったら

このネタ、昔HP(第十三回)のほうで少しやりましたが・・・

Twitterのちょっとしたやりとりから、この内容をリニューアルしようかと思い立ちました。
「無添加調理/当社での製造工程では添加物を使用しておりません」
こういうことを書いているメーカーがありますが・・・
こんな文言が宣伝文句になっている現状は、決してよろしいものではありません。

食品安全委員会のこのファイルには、以下のように書かれています。
http://www.fsc.go.jp/monitor/1801moni-saisyuhoukoku.pdf

”「無添加」である旨の表示については、製造業者等の任意の表示ではありますが、

消費者が誤認を生ずることのない表示が求められています。”

・・・正直言って、誤解を生じるような表示例しか見ないと感じるのですが、気のせいでしょうか・・・?

そこで、タイトルのとおり、もしも食品添加物が完全使用禁止になったらどうなるかを考えてみました。

前提条件
○食品添加物に分類される物はすべて使用してはいけない。(製造用剤含む)
○キャリーオーバーが起きないよう、大本から厳しくチェックしていきます。
○当然ながらすべての食品、料理、調理法を調べることは無理なので、調べられたものに限定しています。
○極端な例を示しています。

1.添加物がないと絶対作れない食品が消える
食品添加物を必ず使用する食品があります。これらの食品は存在自体が抹消されることになります。例えば・・・

豆腐:いくら天然由来とか自然とか謳っても、にがりは凝固剤という添加物なので、使えません。よって、豆腐を作ることは不可能になります。

ラーメン:ラーメンのあの色や歯ごたえは、かんすい(鹹水)のおかげなのですが、かんすいは食品添加物なので、ラーメンは食べられないことに・・・。

こんにゃく炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム(重曹)、水酸化カルシウムなどの凝固剤が使えないので作れません。
一応、灰で作れるけど・・・これは、厳密にいうと現状の法律で添加物としては認められないと思うのです。添加物として使用できない物を使っちゃいけないと思うんだ。
参考 http://d.hatena.ne.jp/ohira-y/20090418

・赤こんにゃく:三二酸化鉄という添加物を使っているのでOUTです。

ガム:チューインガムは、チクルなどのガムベースという物が基本になっています。ガムベースはすべて添加物なので、これも無くなります。

・コーラ、サイダーなどの炭酸飲料:炭酸の元である二酸化炭素が使えないのでこれも作れません。二酸化炭素も食品添加物です。

・ナスの漬物:漬物をつけるとき、なすの紫色が鮮やかになるときに使うミョウバンが使えないので、これも消えます。なお、ぬか床に古釘を入れるという手法も、鉄自身が食品添加物なので、代替手法になりません。

ここまでは命に関わる問題まではいかないのですが・・・

粉ミルク:ここに原材料名が書いてありますが、
雪印メグミルクのHPより
http://www.snowbaby.jp/pure/

例えばL-アルギニン等のアミノ酸、ビタミンC等のビタミン類、クエン酸第一鉄ナトリウム等のミネラル強化剤、これらはすべて添加物です。
赤ちゃんにとって、とても大切な栄養素を加えることができなくなるのです。
添加物を完全禁止にすると、赤ちゃんを無事に育てられない恐れが出てくるのです。
あと、ベビーフードも同様に栄養補充のための添加物はよく使われていますので、粉ミルクと同様です。

2.添加物がないと作るのが困難な食品
ここでの困難は、大量に製造するのが難しくなる、簡単に作ることができなくなる、品質が悪くなるなど、現在の添加物使用時より悪くなるものを意図しています。
いくつかあげてみると・・・

砂糖
とりあえず、三井製糖のHPより、砂糖の作り方
http://www.mitsui-sugar.co.jp/enjoy/dictionary/making01.html
ここの製造工程みると、”石灰””炭酸ガス””活性炭”を使用していることがわかります。この3つは添加物なので、この方法で作ることはできません。
一応古典的な方法で作ることはできますが・・・。


カネダ株式会社のHPより
http://pci.kaneda.co.jp/contents/introduce/process/
抽出溶媒としてのヘキサン、脱酸処理の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、色素を取り除く活性白土が使用できません。
特にヘキサンがないと生産量が落ちるので、価格が上がるでしょうね。

個人的には、脱酸工程でのアルカリ処理でアフラトキシンなどのカビ毒が分解されることを強調しておきます。(アフラトキシンが分解除去される希少な例)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabidoqa.html

パン、ケーキなど
要するにふくらし粉(=膨張剤)が使用できないので、現在のように簡単に購入できる物では無くなるでしょうし、手作りする人の中には困る人もいるのではないでしょうか?
また、品質向上剤イーストフードも使えないので、販売するにも現在の値段ではペイできないでしょうね・・・。

嚥下補助食品:例えばこんなの。http://www.siraho.jp/products/toromi.html
増粘多糖類が食品添加物に当たるので、この製品はダメになります。
これは、一応デンプンや寒天で作れるとはいえ、製品によっては難しいものもあるでしょうね。

ビール、日本酒など
お酒そのものは添加物無しで作れますが、酵母などを取り除くためにろ過をしますが、その際によく使われている珪藻土などのろ過助剤が使用できなくなります。
ろ過助剤の例
http://www.showa-chemical.co.jp/business/pearlite/roka.html

濁ったビールとかもあるので必須ではないのですが・・・
ビールはクリアなものの方が私は好きですねぇ(笑)

ワイン亜硫酸塩が使えないと、何年もののワインは作れません。(何年も持ちません)無添加のワインは新鮮さを味わう物で、寝かせてから飲むワインとは別物と考えた方がいいでしょう。

・調味料:醤油とか味噌とかは、江戸時代に戻った製造方法のものしか作れないでしょうね。あと使える調味料って、コショウとマヨネーズとタバスコくらい?

3.食中毒の恐れが出てくるもの

生野菜殺菌料の次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸水が使えなくなると、O-157を代表とする腸管出血性大腸菌の感染例がさらに増えてしまうでしょうねぇ・・・。
なお、野菜と大腸菌汚染については、FOOCOM.NETのこのページが役立つかと。
http://www.foocom.net/column/editor/4356/

保存料や日持ち向上剤を使っている食品全般:消費期限が今よりも短くなるのですから、当然食中毒が増えることは推測できます。

蛇足ですが、水産練り製品市場で保存料の使用量が1 年で5%減少すると消費者余剰が189億円減少する(社会(消費者)が189億円の経済損失する)との報告もあるようです。
http://www.ueno-fc.co.jp/foodsafety/pdf/hozonryo_gensho.pdf

油の酸化:現在使用している油では通常起こらないのですが、油の酸化も健康被害を起こすときがあります。これを防ぐ酸化防止剤が使えないのは痛いなぁ・・・。
http://www.tcn.zaq.ne.jp/kanno/public_html/oil.htm

多少極端に書きましたが、これでもまだほんの一部だと思います。

食品添加物を完全に使用禁止にしたら、食に関して様々なところで不利益を招き、場合によっては人の命に関わるということが言えるでしょう。

無添加の方がいいとか、食品添加物はない方がいいと思う前に・・・

食品添加物がもし無くなったらどうなるのだろう?と考え、調べてみてはいかがでしょうか。


最後に、イタリアでの実例が紹介されている記事のリンクを貼っておきます。

FOODCOM.NET FoodScience過去記事 > うねやま研究室
トランス脂肪酸の議論の前に、リスク評価の基礎データの集積を
一部引用
”ほぼすべての食品添加物を禁止したため「伝統的イタリア料理」すらレストランでは作れなくなってしまうという事態になっているようです。”
http://www.foocom.net/fs/uneyama/2553/

2011年6月 1日 (水)

生茶葉と荒茶の放射線規制値について考察

神奈川県産の生茶葉から放射性セシウムが検出されてから色々騒がれていましたが、今はこういう流れになっているそうです。

アサヒ.コム(2011年6月1日15時2分付け)より
葉から国の基準を超える放射性セシウムが検出された問題で、菅政権は1日までに生の茶葉を乾燥させた荒茶の段階でも検査し基準を超えた場合は出荷停止にする方針を固めた。
http://www.asahi.com/food/news/TKY201106010256.html

厚生労働省と農林水産省で意見が対立していたと報道されていました。
ここで焦点となっていたのは・・・

・荒茶を測定するか否か

荒茶(あらちゃ)とは:収穫、製茶しただけの茶葉(参考HP
市販されているお茶は、荒茶をさらに細かく刻まれたりブレンドされる。

・生茶葉を乾燥させると何故濃度が上がるのか?
重さが生茶の5分の1になるためとニュースでは言われてますが・・・
相対的に濃度が高くなるだけで、放射性セシウムの絶対量は変化しないです。
ちょっと計算してみます。

・・・荒茶の水分量は見つけられなかったので、普通の緑茶で代用します。

食品成分データベースによりますと、緑茶の水分量は
抹茶:5%
玉露:3.1%
煎茶:2.8%

一方、生茶葉の水分量は75-78%だそうです。
http://www.chinesetea-k.com/article/13756815.html

生茶葉の水分量を75%、緑茶の水分量を3%として、グラフにしてみました。

生茶葉(茶成分+水分)を1000gとして描いています。

Photo_3

乾燥しただけでは、単に水分量が減っただけで、茶成分そのものは減っていません。
また、放射性セシウムは茶成分に残ります。そのため、このグラフは茶成分を放射性セシウムと読み替えても大差はありません。

このままでは、放射性セシウムの絶対量は、両者ともに250ベクレルと同じです。
ここで重量単位でラフな計算をすると・・・
生茶葉:250÷1000g(茶成分+水分)=250Bq/kg
緑 茶:250÷257g(茶成分+水分)=970Bq/kg

こういう過程で、荒茶は規制値を超えやすいものになってしまうのです。

(なお、http://www.weblio.jp/cat/food/shkli で他の野菜の水分量を調べてみると、90%くらいの作物が多いようです)


この理屈を説明したところで・・・

お茶の規制値、どうしたらいいでしょうか。

おっと、その前に参考情報として、ここのHPを紹介。
基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値のケース

まず、生茶葉は500Bq/kgでいいでしょう。

では、荒茶を粉砕ブレンドして販売される普通の緑茶は?
これは、個人的には普通にお茶を入れたときのように、飲み物としてのお茶として測定するのがベターかなと思います。
(飲料と同じ扱いとして200Bq/kg)

こう書くのには一応根拠というか前例がありまして・・・
農薬の個別試験法には、前処理として”検体9.00gを100℃の水540 mLに浸し・・・”のように飲み物としてのお茶として扱う事例があるからです。
例)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu3/2-001.html

ただし、抹茶のように全量摂取するものは食品として扱い、500Bq/kgが妥当と考えます。(これも農薬個別試験法では抹茶とその他お茶では区別されている)

荒茶も、緑茶として書いてきたように扱うのがベターではないかと考えます。


・・・しかし、ここで悩ましいのがお茶葉そのものを食材として料理する事例が近年増えていること。

(例:検索すればいくらでも出てきます)
http://www.fuji.ne.jp/~aitouen/ryouri.html
http://www.city.shizuoka.jp/deps/norin/tea/tea8.html
http://www.maiko.ne.jp/study/column6.htm

昔のようにお茶は飲むものという前提であれば、生茶葉と市場に出る緑茶で扱いを変えた方がいいと思います。

しかし、飲用以外にも、食材として使うとなると・・・
”野菜類”に分類されるのか”その他”になるかはわかりませんが、荒茶も規制値は500Bq/kgにするしかないかな~、というのが最終結論です。

もちろん飲用目的の消費者が多いのはわかっては居ますが、人によっては食材として見ているかもしれませんからね。

となると、荒茶でも生茶葉と同様の規制値という政府の方針は、おかしなことではないのだなぁ・・・。
我ながら書いていて、こういう結論になるとは想像してなかった(^◇^;)

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